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ツツミ(7937)の株主価値向上に向けて
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本ウェブサイトの運営会社は、ナナホシマネジメント(イギリス)(登記名称:Nanahoshi Management (UK) Ltd.、以下「弊社」といいます。)です。
本ウェブサイトは、株式会社ツツミ(以下「ツツミ」といいます。)の日本在住の株主を対象としたキャンペーンサイトです。
最近の対話状況
2025年4月23日、代表取締役社長宛てに書簡を送付しました
内容:株主提案に対する取締役会意見の表明にあたってのお願い
2025年1月10日、代表取締役社長宛てに書簡を送付しました
内容:資本コストに関する面談のフォローアップなど
本ウェブサイトのコンテンツ
著しく低いPBRの改善に向けて弊社が考える施策
資本効率性の改善(資本コストを意識)
1%台のROEのテコ入れ
「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の実行
資本コスト以上の資本効率性を達成するための中期経営計画の策定
ESGの改善を通じた資本コストの低減(リスク低減)
ダイヤモンド原産地の環境および人権保護、労働環境の透明化ならびに原産地トレーサビリティの徹底
株主価値向上に寄与する独立社外取締役候補者の選任
弊社が考えるツツミの課題等と解決策
(補足:本ウェブサイトにおいて、特に記載のない限り、株価及び時価総額は2025年1月30日終値の2,318円及び362億円、財務データは2024年9月末現在。)
貯め込まれた現金と歪なバランスシートの構成
資料1のとおり、ツツミの時価総額362億円(■)に対し、同社が保有する現金は354億円(■)となっています。そして、同社は有利子負債をほとんど保有していません。また、同社の負債純資産サイドは、ほぼ自己資本(■)によって占められており、自己資本比率は98%にも上ります。
ツツミのバランスシートの構成は、明らかに歪だと指摘せざるを得ません。資本コストの考え方は「会社が持つ資産は、その資本提供者である株主や銀行などの期待を上回るリターンを生み出すことで価値を創出する」というものです。しかし、このように現金が時価総額に匹敵するほど貯め込まれた異常な状況を踏まえると、ツツミが出資者の期待に応えているとは到底言えません。
資料1:時価総額と同水準まで貯め込まれた現金および歪なバランスシート
時価総額および現金と比較して自己資本は膨大な金額となっている。
株価に対する異常に低い評価
資料2のとおり、ツツミの株価純資産倍率(以下「PBR」といいます。)は0.54倍となっており、著しく低い水準です。
この極めて低いPBRの要因としては、まず、同社のバランスシートが歪な構成となっていることが挙げられます。さらに、後述のとおり、ビジネスリスクの低減策を実施していないことも一因だと考えられます。
資料2:PBRのイメージ図
株価÷一株当たり純資産は著しく低い水準となっている。
多額の現金の保有による弊害
資料3のとおり、ツツミの事業価値は29億円と推計され、同社の事業は企業価値362億円に対して著しく低い評価を受けているといえます。このような評価のひとつの要因は、同社が非営業用資産として現金をビジネスに活用せずに貯め込んでいることです。
資料4のとおり、ツツミはROEも著しく低い水準であり、これも現金を貯め込んだ結果、自己資本が積み上がったことが要因のひとつだと考えられます。そして、同社のように多額の現金を保有している場合、ROEに対応する株主資本コストの算定について調整(*)が必要となります。このように、多額の現金を保有していると、資本効率性が低下するのみならず、株主資本コストの算定が複雑になります。そのため、企業としては資本コストを意識した経営に向けて適切な資本効率性を目標値として定めるために、まずは大前提となる自社が認識している株主資本コストの水準等を算定し、開示する必要があります。それにもかかわらず、ツツミは株主資本コストの水準等を開示していません。
(*)調整方法として、「ネット余剰現金をマイナス項目として時価総額から控除」する「負のレバレッジ」の考え方が挙げられます。詳しくは「現預金保有と企業価値評価再考」鈴木一功(証券アナリストジャーナル2024年4月号)57頁以下をご参照ください。また、「現金に対するディスカウントを付与する」方法もあります。「日本企業が保有する100円は50円の価値になる?:ESGのGが企業価値に影響する」柳良平(2022.8.18付ダイヤモンドオンライン)をご参照ください。
資料3:事業価値の推計
ツツミの事業価値は約29億円だと算定される。
(補足:事業価値は企業価値(時価総額と有利子負債の合計)から、非営業用資産を控除して推計しています。また、非営業用資産は現金から営業用現金を控除した余剰現金の金額としています。なお、営業用現金は、株式会社ヨンドシーホールディングス、株式会社ナガホリおよびフェスタリアホールディングス株式会社の過去20期の売上高に占める現金の割合を算定し単純平均した値である9.2%を、ツツミの2025年3月期通期会社計画売上高に乗じて算定しています。)
資料4:ROEの推移
ツツミのROEは株主が求めるリターン(株主資本コスト■)に明らかに達していない。
資本コストの観点を踏まえた中期経営計画策定の必要性
資料5のとおり、中期経営計画は、コーポレートガバナンスコードにおいて重要視されています。それにもかかわらず、ツツミは中期経営計画を公表していないことから、すみやかな中期経営計画の策定が期待されます。
また、今後ツツミが中期経営計画を策定するとしても、資料6のとおり、投資家が「経営目標として重視すべき指標」と企業が定める「中期経営計画の指標」にはギャップがあり、投資家は資本コストや資本効率性を重視しているため、この点を考慮する必要があります。もっとも、中期経営計画が策定されておらず、かつツツミが認識している株主資本コストの水準すら公表されていない現時点では、同社においては当該ギャップについて何ら検討がされていないものと考えられます。
さらに、株式会社東京証券取引所は、2024年1月より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関して実施済の企業を公表しています。そして、多くの企業がこれに対応している一方で、ツツミは未だにその対応を行っていない状況です。
資料5:中期経営計画の位置付け
中期経営計画は単なる計画ではなく、株主に対するコミットメントのひとつだとみなされている。
【原則4-1.取締役会の役割・責務(1)補充原則4-1②】
出所:株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」
取締役会・経営陣幹部は、中期経営計画も株主に対するコミットメントの一つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力を行うべきである。仮に、中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとともに、その分析を次期以降の計画に反映させるべきである。
資料6:経営目標として重視すべき指標(投資家)と中期経営計画の指標(企業)のギャップ
投資家は企業よりも資本コストやROEなどの指標を重視している。
(出所:一般社団法人生命保険協会『企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート集計結果(2023年度版)』8頁(2024)から弊社が作成。)
ダイヤモンド原産地トレーサビリティ・調達方針に関する透明性
資料7および資料8のとおり、ダイヤモンドの主要な原産地(≒純輸出国)はロシアや南部アフリカ各国であり、以下のESGのEとSに関する懸念が指摘されます。
ダイヤモンドの販売収益が戦争資金として利用される可能性
採掘地域での児童労働や低賃金労働など、労働環境が整備されていない可能性
採掘活動による環境汚染が発生する可能性
このような背景から、資料9のとおり、ダイヤモンドを取り扱う企業は、調達方針や原産地トレーサビリティに関する開示を透明性高く行っています。
しかし、ツツミはウェブサイトにて「バイヤーが毎月サプライヤーのもとを訪れ、信頼関係を築き、確かな目で宝石を選別することで、質の高い宝石のみを購入しています。現在、取引国は25ヵ国にも及びます。」と開示するにとどまります。
弊社は、ツツミがダイヤモンド原産地のトレーサビリティの徹底ならびに、採掘活動における自然環境および労働環境を守るための適切な基準を満たす原産地からダイヤモンドを仕入れる体制の徹底に関して、透明性の高い開示を行うことを要請します。そして、これらが国内のツツミの顧客だけでなく、海外の潜在的な顧客に対する信頼度を高め、同社のジュエリービジネスの継続性・優位性を強化することに繋がり、その結果として株主資本コストが低減し株主価値が向上すると考えます。
資料7:ダイヤモンド純輸出金額上位10か国
南部アフリカ各国が上位10か国の多くを占めている。
国名
純輸出額シェア
ロシア連邦
26%
アラブ首長国連邦
18%
ボツワナ共和国
16%
アンゴラ共和国
11%
カナダ
11%
ナミビア共和国
7%
南アフリカ共和国
4%
ジンバブエ共和国
2%
レソト王国
2%
シエラレオネ共和国
1%
(出所:Kimberely Process Certification Schemeのデータを元に弊社作成。)
資料8:ダイヤモンド(原石・研磨済み)の輸入に際して事業者が取り組むべき内容に関する指針
経済産業省は2024年4月に当該指針を公表しその後改定を実施した。
ロシア産ダイヤモンドの輸入の段階的な制限の一環として、国内のダイヤモンド輸入事業者に対し、第三国で加工されたロシア産ダイヤモンドの輸入の排除及び適切な取引を実施する旨の自己宣誓を求め、そのために取り組むべき内容の手引きを提示するものです。
出所:経済産業省ウェブサイト
法的拘束力はありませんが、将来的に導入しうる法規制を見据え、事業者が尊重し、自主的に遵守することが期待されます。
資料9:ダイヤモンド調達方針に関する開示例
ESGのEとSに関する観点からダイヤモンド調達等の方針を明確にし、トレーサビリティも徹底している。
4℃が「責任あるジュエリー協議会(RJC)」に認定されていることをご存知ですか?世界ではカルティエやティファニーなど世界的に有名なジュエリー企業を含む多くのグローバル企業がRJCに認定されていますが、日本では僅か3社のみ(2019年7月現在)。 (弊社注:2025年1月30日現在7社、そのうち調達・流通レベルまで対象範囲を拡大した認定を受けているのは2社。)
出所:株式会社4℃ホールディングス(株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツ)Jewelry Timesおよびウェブサイト
これからも、紛争ダイヤモンドや児童労働によらない、人権に配慮したクリーンな調達、原産地証明のついたダイヤモンドの販売に加え、環境問題にも取り組んでまいります。(略)この先も、品質のみならず、倫理や環境、社会に対しても高い基準を持ちつづけることで、安心感とともに永くお使いいただけるジュエリーをお届けすることを、4℃はお約束いたします。
2005年にRJCに加盟したショーメは、ダイヤモンドの採掘から販売に至るまで、ジュエリーに関わる全体を通して、人権を尊重し、倫理的、社会的、環境的に責任ある実践を推進するべく、透明性のある取り組みを実施しています。
出所:ショーメウェブサイトおよび2023年年次報告書6頁
現在、ショーメのブティックと本社では、ダイヤモンドのトレーサビリティと原産地、およびショーメが取引関係を維持するビジネスパートナーの分析が正確にモニタリングされることを確実なものとするための特別な管理が行われています。
顧問契約締結先かつ長期在任の独立社外取締役
資料10のとおり、独立社外取締役には、取締役会において最も株主と近い目線で株主価値向上に向けた役割を果たすことが求められます。特にツツミのように創業家が株式の大部分を保有する会社においては「少数株主の意見を取締役会に適切に反映させる」という独立社外取締役の働きが一層期待されます。しかしながら、ツツミの株価のバリュエーションは、資料2のとおり、著しく低い水準に放置されていることから、少数株主の意見が取締役会に適切に反映されているとは言い難い状況です。
さらに、資料11のとおり、ツツミの独立社外取締役は、2025年6月現在、在任期間が11年および10年と長期間になります。また、それぞれがツツミとの顧問契約を締結している組織の代表社員やパートナー弁護士を務めています。
このような状況を鑑みると、独立社外取締役としての「独立性」に疑問が生じるだけでなく、彼らに特に求められる「少数株主の意見を取締役会に適切に反映させる」という責務が十分に果たされていないと言わざるを得ません。
資料10:独立社外取締役に求められる役割
独立社外取締役には、株主と同じ目線から株主価値向上を推進させる責務がある。
【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
出所:株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」
上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。
(ⅰ)経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
(ⅱ)経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと
(ⅲ)会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
(ⅳ)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
資料11:独立社外取締役の状況
独立社外取締役2名のうち両名が税理士顧問または法律顧問契約締結先出身者である。
役員就任時期
宮原敏夫氏は、公認会計士及び税理士であり、当社は同氏が代表社員である税理士法人朝日会計社との間で税理士顧問契約の取引がありますが、取引の規模、性質に照らして、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではないと判断しております。
2014年6月 監査役
2017年6月 取締役
(監査等委員)
柿沼佑一氏は、高篠・柿沼法律事務所のパートナー弁護士であり、当社は同法律事務所との間で法律顧問契約の取引がありますが、取引の規模、性質に照らして、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではないと判断しております。
2015年6月 取締役
2017年6月 取締役
(監査等委員)
株式会社の目的と上場要否の再検討の必要性
株式会社の取締役の責務は、自身を選任する権利を持つ株主に対して、株価の値上がり益と配当で報いることです。ツツミの取締役におかれては、株主価値の向上という視点で、経営に臨んでいただくことに期待します。
また、それが困難な場合、非上場化することも選択肢のひとつです。株主の利益を確保した上での非上場化は取締役にとって恥ずかしいことではありません。
なお、株主価値向上のための経営方針の推進や非上場化の検討が難しい場合は、株主価値向上を推進できる取締役を招聘し、ご自身は取締役をすみやかに辞任していただきたいと存じます。
資料12:東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」実施企業の一覧表公表開始後のツツミの株主総利回り(トータルシェアホルダーリターン)
株価は足元堅調であるものの期間を通してみればほぼ横ばいの推移であり、対指数ではアンダーパフォームしている。
(補足:株主総利回りとは、配当落ちの影響を控除した株価の指標です。なお、配当込みTOPIXは税引後のベースであり、ツツミの配当も同様に税引後に再計算して比較しています。)
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